概要

 

ご挨拶

学界、ならびに、産業界の国際的な競争の中で我が国は優位な立場を確保していると考えられていた、物質・材料分野においては、データ科学の進展とともに近隣諸国や欧米の研究が活発化しています。計算物質科学分野は「京」コンピュータを代表とする各種のプロジェクトにおいて、大規模高並列化計算機を活用した計算手法の開発が進み、現実に近いシミュレーションができるようになりました。そして、計算の専門家でない方が大規模超並列計算を実施できる環境も徐々に整ってきました。また、データ科学を駆使した物質材料探索手法も浸透しつつあります。そして、スーパーコンピュータ「富岳」の時代においては、計算により創出される膨大な高精度の計算データの価値は実データとの同化技術などにより飛躍的に高まることが予想されています。このような時期において、日本で開発されている最先端の物質科学ソフトウエア群を活用したシミュレーション技術と、データ科学のツール群を駆使した材料情報科学技術を学界や産業界で迅速に活用し、物質・材料分野の優位性をさらに高め、世界をリードする状況を確保しなければならないと考えています。また、近年、進展が著しい量子コンピューティング技術をどのように物質材料探索に活用していくかの検討も重要課題と位置付けられます。

そこで、我が国の最先端の計算物質科学技術を振興し、世界最高水準の成果創出と、シミュレーション技術、材料情報科学技術の社会実装を早期に実現するため、計算物質科学技術に関わる全ての方々に開かれた、計算物質科学協議会を設立いたします。

本協議会は、物質科学分野向けのスーパーコンピュータ共同利用・共同研究拠点である、東北大学、東京大学、自然科学研究機構と、教育拠点である大阪大学を運営機関とし、個人の研究者はもちろん、最先端のシミュレーション技術を開発する国家プロジェクト、国家プロジェクトで開発されたソフトウエアの利用を支援する機関、ソフトウエアを駆使したシミュレーション技術を活用し学界や社会への貢献に導く企業や研究機関に所属する方々などで構成する予定です。そして、学界や産業界のニーズと計算物質科学界のシーズを常に対比させ、国際動向を含めた情報交換を行なって、ソフトウエアやツールの新たな研究開発の方向性を導き、それらを駆使したシミュレーション技術、データ解析技術の開発と活用を促します。さらに、将来必要となる技術についての意見集約と国や関係諸機関への提言を行うこと等を、活動内容とする予定です。また、運営機関、および、会員の所属する機関が実施する研究会やシンポジウム、ソフトウエアやツールの講習会や人材育成教育活動等を周知するネットワークを構築し、全国の計算物質科学に関連した成果やツールの開発者と利用者のコミュニティを効率的につなぐ仕組みも設ける予定です。

以上の趣旨の下、別添の発起人の皆様にもご賛同頂き、計算物質科学協議会を設立する次第であります。

令和2年5月

計算物質科学協議会設立準備会 共同代表者

東北大学 金属材料研究所 計算材料学センター 久保百司

東京大学 物性研究所 計算物質科学研究センター 尾崎泰助

自然科学研究機構 分子科学研究所・計算科学研究センター 江原正博

大阪大学エマージングサイエンスデザインR3センター 森川良忠

 

運営規約

計算物質科学協議会 運営規約



第1章 総則

 

(名称)
第1条 本会を、計算物質科学協議会(英文名:Computational Materials Science Forum 略称:CMSF)(以下、「本協議会」という。)と称する。 

 

(目的および事業)
第2条 本協議会は、日本における計算物質科学の開発支援、普及促進、産業における有効活用の推進を通じ、日本の学術及び科学技術の振興、産業競争力の強化に寄与することを目的とし、その目的に資するため、次の活動を行う。
 (1) 将来の物質材料シミュレーション技術、材料情報科学技術などについての意見集約と国および関係諸機関に向けた提言。
 (2) 国家プロジェクトや大学・研究機関で開発された物質科学シミュレーション技術、物質情報科学技術の産業界、学術界への普及・振興、人材育成の推進のための、情報交換および連携の促進。
 (3) 産業界および学術界のニーズと、計算物質科学分野のシーズを対比させ、国際動向を含めた情報交換を行ない、シミュレーション技術の新たな研究開発の方向性を探る活動。
 (4) 計算物質科学に関連した情報の発信。

 

(運営機関)
第3条 本協議会の運営は、物質科学分野で利用するスーパーコンピュータの共同利用・共同研究拠点である、東北大学金属材料研究所計算材料学センター、東京大学物性研究所計算物質科学研究センター、自然科学研究機構分子科学研究所および同機構岡崎共通研究施設計算科学研究センター、並びに、物質科学分野の教育拠点である、大阪大学エマージングサイエンスデザインR3センターが担う。(以下、上記四機関を総称して「運営機関」という。)


第2章 会員

 

(会員)
第4条 会員とは、本協議会の目的に賛同する個人であって、本協議会が入会を認めた者をいう。

(入会および会員資格の更新)
第5条 本協議会に入会しようとする者は、本協議会WEBサイトより、計算物質科学協議会運営規約(以下、「本規約」という。)の内容を確認および承諾の上、入会を申し込む。
2 会員登録は年度ごとの更新制とし、更新を希望する会員は、本協議会のWEBサイト上に指定する方法にて、更新手続きを行うものとする。
3 入会申込および更新の手続きの際、事前に書面または電子データなどで議決権を行使することなく本協議会の総会に欠席した場合は、議決権を総会の議長に委任することに同意するものとする。

 

(入会の拒否)
第6条 第16条に定める運営委員会の審議により、入会を拒否する場合がある。

 

(退会)
第7条 会員は、本協議会のWEBサイト上に指定する方法にて、任意にいつでも退会することができる。
2 本協議会が指定する期間中に更新手続きを行わない会員は、退会したものとみなし、会員資格を失う。
  なお、退会後は、その後の再入会を妨げない。

 

(除名)
第8条 会員が次のいずれかに該当する場合は、運営委員会の決議によりその会員を除名することができる。
 (1) 本規約、その他の規則に違反したとき。
 (2) 本協議会の名誉を傷つけ、または目的に反する行為をしたとき。
 (3) その他の除名すべき正当な事由があるとき。

 

(会員情報の変更)
第9条 会員は、入会申込時に届け出た住所、電話番号、電子メールアドレスの内容に変更がある場合、速やかにその内容を当協議会のWEBサイト上に指定する方法にて届け出るものとする。

 

(会費)
第10条 会員の会費は無料とする。ただし、総会や各委員会に出席するための旅費および、個々の活動に係る経費については、実費負担が必要な場合がある。 

第3章 役員 

 

(役員)
第11条 本協議会に、次の役員を置く。
 (1) 運営委員 16名
 (2) 相談役 若干名
2 運営委員のうち、1名を代表、1名を副代表とする。
3 運営委員のうち、定数の半数を第1号委員、残りの半数を第2号委員とする。 

 

(役員の選任)
第12条 運営委員のうち、第1号委員は運営機関が各機関に所属する会員から推薦し、代表がこれを任命する。第2号委員については運営機関以外の組織に所属する会員から、立候補もしくは運営委員会の推薦に基づき、総会において選任する。
2 代表および副代表は、第1号委員の中から、異なる機関に所属する者を1名ずつ互選する。
3 運営委員が任期中に離任する場合、後任者については運営委員会で審議の上、決定する。
4 相談役は、運営委員会の承認の下に、代表が任命する。


(役員の任期)
第13条 代表、副代表の任期は1年とし、運営機関による年度毎の輪番制とする。
2 運営委員、相談役の任期は、原則として1年とする。ただし、再任を妨げない。
3 補欠または増員により選任された運営委員、相談役の任期は、前任者または現任者の残任期間とする。

 

(役員の報酬)
第14条 役員は、いずれも無報酬とする。

 

(役員の職務)
第15条 代表は本協議会を代表し、会務を総理し、運営委員会および、総会を招集する。
2 副代表は、代表を補佐し、代表不在の場合はその職務を代行する。
3 運営委員は、運営委員会を構成し、運営委員候補者の推薦および、本協議会の目的に資するための必要な業務を執行する。
4 相談役は本協議会の会務執行、運営に関して、運営委員会の諮問に応じて意見を表明する。

 

第4章 組織  

 

(運営委員会)
第16条 本協議会に運営委員会を置く。
2 運営委員会は、役員を以って構成する。
3 運営委員長は本協議会代表が、運営副委員長は副代表が、それぞれこれにあたる。
4 運営委員会は、必要に応じて会員をオブザーバーとして参加させることができる。

 

(運営委員会の開催)
第17条 運営委員会は、代表が招集し、原則として年二回開催するほか、代表が必要と認めたときに開催する
こととし、必要に応じて、書面または電磁的方法により開催することができる。
2 運営委員会は、第2条に定める事業の執行に関する企画、立案を行うとともに、次の事項を決議する。
 (1) 事業計画および事業報告、予算及び決算、ワーキンググループの設置等、本協議会の運営に関する重要事項。
 (2) 本規約の変更及び廃止。
 (3) 本協議会の解散。
 (4) その他、代表が本協議会の事業に関し必要と認める事項。
3 運営委員会の議決は、出席した運営委員の過半数をもって行う。但し、可否同数のときは、運営委員長の決するところとする。また、本規約を変更および、本協議会を解散しようとするときは、全運営委員の3分の2以上の同意を要するものとする。なお、相談役は議決権を有さないものとする。

 

(決議の省略)
第18条 運営委員が、運営委員会の決議の目的である事項について提案した場合において、その提案について運営委員の過半数が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の運営委員会の決議があったものとみなす。 

 

(運営委員会の議事録)
第19条 運営委員会の議事については議事録を作成し、第28条に定める本協議会事務局(以下、「事務局」という。)が保管する。 

 

(総会)
第20条 総会は、全会員をもって構成する。
2 総会は、全会員の過半数の出席をもって成立する。ただし、当該議事に関し、予め意思を表明した者は出席者とみなす。
3 総会の招集は、開催の2週間前までに、議題、開催日時及び場所を記載した書面もしくは電子データをもって会員に通知する。 
4 総会の議事運営は、代表または代表が指名する運営委員が議長を務め、副代表がこれを補佐する。
5 議長が必要と認めたときは、会員以外の者に総会への出席を求め、説明または意見を聴くことができる。

 

(総会の開催)
第21条 総会は、原則として年一回開催するほか、代表が必要と認めたときに開催することとし、必要に応じて、書面または電磁的方法により開催することができる。
2 総会は、次の事項を決議する。
 (1) 運営委員のうち、第2号委員の選任
 (2) 運営委員会で決議された事業計画及び事業報告の承認
 (3) その他本協議会の活動および運営に関する基本的事項
3 総会の議事は、出席した会員の過半数の同意をもって決し、可否同数の場合は、議長の決するところによる。 

 

(総会の議事録)
第22条 総会の議事については議事録を作成し、出席した運営委員から議長が指名した2名が承認のうえ、事務局が保管する。 

 

(ワーキンググループ)
第23条 本協議会には、必要に応じて課題ごとにワーキンググループを設置することができる。
2 各ワーキンググループのメンバーは、運営委員による推薦または、会員の中から募り、代表が決定する。
3 各ワーキンググループは、その活動の円滑な推進を図るため、費用の負担、方針の決定その他について、自ら規定を定めることができる。 

 

第5章 運営 

 

(事業年度)
第24条 本協議会の事業年度は、原則として毎年4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。

 

(経費)
第25条 本協議会の活動に必要な費用は、運営機関が分担して拠出することとし、負担金の金額および払い込み等の詳細は、運営委員会にて協議の上定める。なお、本協議会としての会計組織は設けない。

 

(事業計画)
第26条 本協議会の年度の事業計画については、当該事業年度初回の運営委員会にて審議し、決定する。事業計画を変更する場合は、運営委員会にて再度審議するものとする。

(事業報告)
第27条 本協議会の事業報告及び決算報告については、毎事業年度終了後、事務局が報告書類を作成し、運営委員会がこれを審議するものとする。
2 前項の書類のほか、「組織及び事業活動の状況の概要のうち重要なものを記載した書類」を事務局に備え置くものとする。

 

(事務局)
第28条 本協議会の事務を処理するため、事務局を設置する。
2 本協議会は、事務局を運営機関のいずれかに設置する。
3 事務局の設置場所は、原則として代表の所属機関とする。

 

第6章 その他

 

(規約の変更)
第29条 本規約の変更は、運営委員会の決議をもって行う。

 

(解散)
第30条 本協議会は、運営委員会の決議をもって解散することができる。

 

(その他)
第31条 本規約に定めるもののほか、本協議会の運営に必要な事項は、運営委員会の決議により別に定める。

 

<附則>
・本規約は、令和2年5月1日から施行する。
・第16条に定める運営委員会に関し、令和2年度第1回目の運営委員会は、第3条で定める運営機関に所する運営委員8名と、本会の設立準備委員で実施する。
・第24条に定める事業年度に関し、発足初年度の期間は令和2年5月1日より令和3年3月31日とする。
<附則> 令和2年7月18日改訂
・第13条に定める役員の任期について、本協議会発足初年度(2020年度)における代表および、副代表の任期は、当該年度までとし、運営委員および、相談役については、当該年度および、翌年度(2021年度)とする。
<附則> 

・本規約の一部を改訂し、令和4年4月1日から施行する。

 

会員所属機関

<機関数>大学・国研等:43 

企業:16

<会員数>

118名(2025年3月25日現在)

  
<会員所属機関>※順不同・登録順に掲載  
大学・国研等愛媛大学 企業  ダイキン工業株式会社 
 一般財団法人材料科学技術振興財団  トヨタ自動車株式会社 
 一般社団法人東光会(日展系美術団体)  パナソニック ホールディングス株式会社 
 岡山県立大学  株式会社JSOL 
 韓国科学技術研究院  株式会社Quemix 
 京都先端科学大学  株式会社アスムス 
 京都大学  株式会社デンソー 
 金沢大学  株式会社豊田中央研究所
 九州大学  株式会社村田製作所
 熊本大学  JSR株式会社
 生命創成研究センター  信越化学工業株式会社
 公益財団法人計算科学振興財団  太陽誘電株式会社 
 公益財団法人高輝度光科学研究センター  東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ(株) 
 高度情報科学技術研究機構  日本オラクル株式会社 
 国士舘大学  シュレーディンガー株式会社
 信州大学  田中貴金属工業株式会社
 神戸大学   
 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構統計数理研究所   
 大阪公立大学   
 大阪大学   
 筑波大学   
 鳥取大学   
 東京工業大学   
 東京大学   
 東京理科大学   
 東北大学   
 

独立行政法人国立高等専門学校機構

明石工業高等専門学校 

  
 奈良先端科学技術大学院大学   
 物質・材料研究機構   
 分子科学研究所   
 兵庫県立大学   
 豊田工業大学   
 北海道大学  
 名古屋大学   
 名桜大学   
 理化学研究所   
 立命館大学   
 量子科学技術研究開発機構  
 九州工業大学   
 科学技術振興機構  
 室蘭工業大学  
 産業技術総合研究所  
 経済産業省  

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